2013年09月10日

再生する花束

伊豆長岡から伊豆高原への帰途、やがては狩野川へと至る細い支流に沿ってつづく県道12号は八幡東(はつまひがし)のT字交差点を冷川方面へと過ぎた辺り、川と道の間に挟まれた歪な田んぼの連なりを左に、草木の生い茂る山肌を右手にしながらしばらくつづく直線に近い道筋の一点に僕はいつも目を惹かれます。足を止めたくなるようなものなど何もないこんな場所に、小さく活けられた花束が絶えるのを、僕は見たことがありません。雨や風に晒されて散らされ倒れても、またいつの間にか花が新たにされている・・・その再生を目にする度に、家族なのかはたまた恋人なのかなど僕は知る由もないのだけれど、この場所で命を落とした誰かが、此処に花を活け続けている人にとってどれだけ大切な人であったのか・・・通る度にひしと感じさせられます。

誰かの生を憶えているということ・・・それは記憶の中の今はもういない人の今≠ノとり、何かしらの意味を持ち得るのでしょうか。ふと思い出されるのが、既にいなくなった自分を憶えてくれている人がひとりでも生きている限り、そこに留まり平和に暮らすことが出来るという終わりの街≠フ様子を描いたケヴィン・ブロックマイヤーの「終わりの街の終わり」という物語でした。ストーリーを読みながら、僕は自分が此処にいるということの特異さと不思議さに突然気づかされたような気持ちになったものです。

シェアした曲は、1983年2月にこの世を突然去ってしまったカレン・カーペンターが、カーペンターズとして生涯最後にレコーディングしたという、そして惜しまれたその死の直後に発表されたヴォイス・オブ・ザ・ハートというアルバムの一曲目に収められているNow=@です。

今を、そして今を共にする人を大切にしよう・・・互いをしっかりと記憶に刻み、形を心に留めながら日々を生きよう・・・通る度に目にする再生する花束≠目にしながら、僕はいつもそう感じさせられます。あの道筋に花を活け続けている人の中には、大切だったはずの誰かがきっと今も昔のままの姿をもって生きているのかもしれません。記憶というのは、過ぎてしまったその日々がどれだけ遠いかに関わらず、それを自分の内に留めている人の生き方に今も働きかけてくる・・・誰かのことを悼むということは、きっと今はもういないその人の生の輝きを自分を通してこの世界に辛うじて留めることなのかもしれません。

伊豆高原は曇り空、そしてすっかり秋めいてひんやりと涼しい一日となりました。今夜もまたあの道筋を通ります。夜の暗がりの中で、数日前にまた新たにされたばかりの真紅の花が風にゆれているはずです。



Now,  Carpenters

Now when it rains, I don't feel cold.
Now that I have your hand to hold,
The winds might blow through me
but I don't care.
There's no harm in thunder if you are there.

And now,
now when we touch, my feelings fly.
Now when I'm smiling, I know why.
You light up my world like the morning sun.
You're so deep within me, we're almost one.

And now all the fears that I had start to fade.
I was always afraid love might forget me,
love might let me down.
Then look who I found.

The winds might blow through me
but I don't care.
There's no harm in thunder if you are there.

And now, now,
now when I wake, there's someone home.
I'll never face the nights alone.
You gave me the courage I need to win,
to open my heart and to let you in.
And I never really knew how, until now,

Until now.

No, I never really knew how,
until now


posted by フランキン at 15:58| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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