2013年05月17日

「津田令子の旅の香り」5月16日「旅の香り」放送後記

5月16日「旅の香り」放送後記

2013年5月16日スタジオ風景

 旅と文学というテーマで、当日仙台で行われた「日本旅のペンクラブ」仙台大会の会場と電話をつないで、その盛況ぶりをお伝えしました。
 5月16日というのは、祝日ではないので学校やお仕事がお休みになったりするわけではありません。でも「日本旅のペンクラブ」にとっては一番大きなイベントを行う日として決まっています。バレンタインデーとかホワイトデーとかと同じくくりと考えていただければわかりやすいでしょうか。
 旅の日は松尾芭蕉が『奥の細道』のために旅に出発した日であるということから決めたということです。曾良を伴っての行脚は、かなりの道のり、まさに命がけの旅でした。現在でも、芭蕉が辿った行程をすべて乗り物を使ったとしてもかなりの日数がかかります。電車も車もない時代に行脚した芭蕉は、元祖旅の文化人といってもよいでしょう。

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「文学をたどる 目白台編」
東京メトロ有楽町線江戸川橋駅を出て、江戸川橋をわたって音羽通りへ。久世山に登る坂・鷺坂辺りには堀口大学が住んでいました。鷺坂というのは万葉集の古歌にちなんで佐藤春夫と2人で名づけたといいます。首都高速の下をくぐって神田川沿いの江戸川公園を抜けて目白坂へでます。椿山荘前の横断歩道をわたって路地を入り少し行ったところに佐藤春夫の家がありました。櫛形の門扉を大谷石が包むモダンな構えが特徴でしたが、記念館に移築されてしまいましたので、ここで見ることはできません。目白通りへ戻って右へ、直進した左手に講談社野間記念館があります。講談社90周年を記念して建てられたものです。煉瓦色の屋根に白亜の壁のコントラストが美しく落ち着いた雰囲気です。入口の躑躅の丘や竹林も素晴らしいけれど広々とした庭が眺めれる休憩室で時間を忘れ、くつろでいただきたい空間です。その先を左折した右側にある永青文庫にも立ち寄ってみてください。このあたり一帯は江戸時代の熊本藩主細川家の下屋敷だったのです。細川家16代護立が伝来のコレクションの分散(散逸)を防ぐ目的で昭和25年に設立したものです。鬱蒼としたエントランスの奥にひっそりと建つこじんまりとした美術館です。一般に公開されたのは、昭和47年になってからのことでした。
その先にある胸突坂は、かなり急な階段です。そこを下ると新江戸川公園にでます。ここも細川家の下屋敷でした。石段の右にある水神社は、神田上水の水神で、水源地は三鷹の井之頭だといいます。さらに左には関口芭蕉庵があります。芭蕉が神田上水の工事の時にこのあたりの「水番屋」に住んでいたらしいと書いてあります。芭蕉の三十三回忌に木造を祀って「芭蕉堂」が、建てられ、以来「関口芭蕉庵」と呼ばれるようになりました。石段を下り左に曲がると椿山荘の冠木門があります。元黒田豊前守の中屋敷で、そののち明治の軍人で政治家の山形有朋の屋敷となりました。自生する椿がとっても美しく、周りの景観もよく「椿山」といわれたことから、山形有朋自ら「椿山荘」と命名したということです。大正に入り男爵の藤田平太郎の所有となり、今も五重塔などの文化財を随所に施した林泉回遊式庭園として整備されています。ホタルを眺めながら「食」も楽しめる都会のオアシスとして多くのファンの心をつかみつづけています。

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こちらはほんの一例です。東京には、目白台だけではなく、馬込の文士村界隈、落合文士村界隈、荻窪界隈、三鷹界隈、多摩川流域界隈など文学と風土をつなぐ「東京文学探訪」を楽しめる地域がたくさんあります。お時間を作って歩いてみてはいかがでしょうか。
文学を通して旅を考えるきっかけになっていただければと思います。
佐藤春夫
明治25年(1892年)和歌山県東牟婁郡新宮町(現・新宮市)に生まれました。
医師である父・豊太郎が文芸にも造詣が深くまた、当時木材業で栄えた新宮には大石誠之助、西村伊作、沖野岩三郎ら先進的な文化人が活発に活動していました。
明治43年(1910年)、中学卒業と同時に上京。慶應義塾大学予科文学部に入りますが、のちに中退。雑誌「三田文学」「スバル」などに詩歌を発表、また「西班牙犬の家」を発表してその才能が注目されつつありましたが、大正7年(1918年)、谷崎潤一郎の推挙により文壇に登場、以来『田園の憂鬱』『お絹とその兄弟』『美しき町』などの作品を次々に発表してたちまち新進流行作家となり、芥川龍之介と並んで時代を担う2大作家と目されるようになりました。


posted by フランキン at 00:00| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 津田令子の「旅の香り」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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