
転落少女と36の必読書(上)
まだ読み始めたばかりですが、この本がやけにおもしろいのです。著者は30代半ばの女性、物語の主人公ブルー・ヴァン・ミアは高校生の少女。10代の少女ながら古今の文学や映画に精通したブルーを語り手として展開する極めて知的でミステリアスな物語は、その文章の至るところで、ブルーが目にしていること、感じていることの諸々が既に彼女が読み終え精通している無数の書物や映画の中のフレーズに結びつけられてイメージ化されつつ、少女らしい正直さと軽やかなアイロニーを伴って表現されていく・・・それがじつに小気味良くてユーモラスな文章になっていて、著者の知性と感性の瑞々しさを感じます。
ブルーは自分の置かれた状況にトギマギしたりドキドキしたりしながらも、自身のうちに蓄積された言葉の数々を「当てはめる」ことのできる側面を見出し、常に客観的でちょっと醒めた部分をもって語ってくれます。
今経験している事柄を既に自分が知っている事柄や知識に結びつけて再構築し、自分との関係性をより確かなものへと変換しながら、それらを経験として自分自身の認識に落とし込んでいく・・・そうすると、誰だって自分の物語を表現できるようになっていくのかもしれませんね。「本をつくれば限りなし」・・・というのはバイブルの中の言葉ですが、新しさや流行に振り回されず、その限りない本との出会いをどれだけ経験できているのか・・・?「読む」という行為というか習慣が、どれだけその人を豊かにしてくれるものなのか・・・そんなことを感じさせてくれる一冊(上・下だから二冊か^^)先が楽しみ・・・(^^;)