2010年10月10日

極限状況のサードマン現象〜人間という生命の形について未到達の真実の存在を感じ畏怖さえ覚える

奇跡の生還へ導く人―極限状況の「サードマン現象」
奇跡の生還へ導く人―極限状況の「サードマン現象」

大変興味深い本です。

この本の中で、
読み手は実際に起きた幾つもの極限に接します。
それはさながら、凍りついた南北極点への道程や厳冬の山岳、
荒れ狂う嵐と寒さに翻弄される救命ボートの上等々・・・
人間の生存を拒絶するかのような大自然を舞台にした
何十冊もの冒険物語を一気に駆け抜けていくかのようで、
途中でページをめくるのをやめられないほど興奮に満ちています。

極限の中で生身の人間として出来ること、
考え得るすべてを尽くした後、
生きると決めている人の多くが体験する
守護的な「存在」の気配。

生か死かの状況で、自分と仲間たちの他に
もうひとり誰かがいる・・
故にこの種の体験を「サードマン現象」というのだそうで、
自分としては初めて耳にする興味深い言葉でした。

本書の中では、奇跡の生還を遂げたあのシャクルトンや
「翼よあれがパリの灯だ」で有名なリンドバーグをはじめ、
世界にその名が知られる幾人もの探険家を含めた
極限状況での実体験が数多く例として挙げられ、
極限から生還した大勢の人たちにとっては、
実はこのサードマン現象がごく一般的と言っても良いほど、
比較的によく知られた現象なのだとはじめて知りました。

著者のジョン・ガイガー自身も探検家の顔を兼ねるひとりであり、
大自然に挑戦してきた多くの探検家たちをリスペクトしつつ、
それゆえに体験者の心理に大いに理解を示しながら、
いったいこの現象はなんなのか・・・?という問いに対して、
非常にバランスの取れた考察と検証を展開していきます。

その過程は非常に刺激的で、冒険探検記、脳神経科学、
神秘体験やスピリチュアル・・・等々
様々な角度から関心を持つ非常に幅広い範囲の読者に、
大変おもしろい読書体験をもたらしてくれるはずです。

本書では、サードマン現象を体験した人々がそれを通して
しばしば宗教的な気づきに至る人たちが多いことにも触れ、
彼らが自分の体験に関して抱いている感触を肯定しながらも、
神秘的な源からの現象だとする結論に安易に飛びつくことはせず、
この現象との関わりが考えられる人類の意識構造の歴史と、
脳科学的な探求によって明らかになったことを提示する努力が払われています。

しかし同時に、現代の脳神経をめぐる科学によってさえ、
すべての謎が解明されるというわけでもなく、
形而上的な要因の可能性が
排除されるわけではないことを示唆しながら、
人間の生命と精神のしくみににおける
知識と経験の未到達な地点に、
比較的近い未来にやがては達することになるかもしれないという、
ワクワクするような展望が感じられます。

一読者の感想としては、現時点での脳科学的説明の試みと
それでも謎が残るこの現象についての考察から、
人間という生命の形について
なお明らかになるべき真実の存在を感じさせられ、
思わず畏怖をさえ覚える興味深い一冊でした。

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posted by フランキン at 02:50| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | あの映画見た?この本読んだ? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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