2010年09月07日

物語は残り香・・・香りはタイムマシン〜エステルの物語

この夏、ネロリとフランキンのアロマスクール&サロン花らんぷが提供するアロマトリートメントにたくさんの人たちが感動の声を残していってくれました。施術はすべてネロリが行っていますが、伊豆を訪れることがありましたら、是非ネロリの手と極上の香油をもって施されるアロマトリートメントを受けてみてください。

さて、今回はアロマを用いたリラクゼーションとして今や大変ポピュラーなものとなっている香油を用いたマッサージ(法令上「マッサージ」とは店舗等に表記できません)が、実は大変古い歴史をもったものであるというお話をしましょう。人と香りのつながりの歴史を調べていくと、古代から中世、そして近代、現代まで、さまざまな仕方でアロマセラピーは人とともにあったことがうかがえます。

3年ほど前に『300』(スリーハンドレッド)という映画がありましたが、スパルタの王レオニダスをジェラルド・バトラーが演じ、紀元前480年頃にペルシャ戦争の中で戦われた有名なテルモピュライの戦闘を描いたものでした。さて、この凄惨な戦いを描いた映画の元となった歴史に、今日のアロマセラピーの用い方にもつながる人物を見出すことができると聴いたなら意外に感じる人もいるかもしれません。

わずか300人のスパルタの兵士に殺到する100万の軍勢を率いるのが、ロドリゴ・サントロ演ずるペルシャの大王クセルクセス一世です。映画では顔や身体を幾つもの金銀の装飾品に包んだ尊大な大男として登場したクセルクセス…実はこの男の王妃とされる女性にまつわる物語がバイブルの物語の中に残されています。その名はエステルというユダヤ人の女性。フランキンもネロリも宗教とは無関係ですが、ひとつの物語の本としてのバイブルの中に、今日行われているアロマトリートメントと深く関連する記録があるのを知り、興味深く感じています。

The Bible - Esther (2000)
The Bible Esther (2000)

エステルは、王の怒りをかって退位させられた前王妃にかわる王妃候補の美女たちの中から、みごと王妃として選ばれた女性だとされています。彼女はある時、クセルクセス一世の治世中にペルシャ内で起きたとされるユダヤ人絶滅の陰謀を知ります。王妃といえ、呼ばれもせずに王の前に出れば僭越な者とみなされ命はないという厳しい城の中の掟にも関わらず、彼女はその陰謀の背後にクセルクセスの家臣であるハマンという男の企みがあることを知り、命を懸けてクセルクセス王の前に進み出てその陰謀の存在を暴露し、ユダヤ人へ危害が及ぶことのないよう王に請願します。その結果としてユダヤ人は民族として難を逃れたのだといいます。その時のエステルの勇気ある行動とそのいきさつを記念し、現代のイスラエル人たちもプリムと呼ばれる祭りとして今に残しています。

歴史上の記録に、クレオパトラ楊貴妃などのように、絶世の美女として今も語り継がれる女性たちが幾人かいます。もしかしたらクセルクセス一世の心を射とめたエステルも、そんな女性のひとりと言えるかもしれませんね。そういえば彼女の物語は幾度か映画やドラマにもされていて、70年代にはあの「ロミオとジュリエット」でジュリエットを演じたオリビア・ハッセーも、エステルを一度演じています。

エステルの健やかさと美しさに寄与していたもの・・・実はその背景にアロマセラピーの存在が浮かび上がります。前王妃が退位させられ、王は次の王妃を多数の女性たちの中から選ぶこととなったのですが、王の選びに備え、候補の女性たちはなんと今で言うアロマトリートメントを受けたのです。記録によれば、エステルは計12ヶ月という長い期間にわたって、没薬やバルサム油をも用いた美容処置、つまり香油を用いたマッサージと思われる施術を受けたようです。これは当時国家間の贈り物として採用されるほど貴重なものとみなされていた、ミルラ(没薬)やフランキンセンス(乳香)やその他の天然の香油を使ってのアロマトリートメントが、紀元前のこの当時すでに健やかさを保つための有用な手法みなされ行われていたという事実を今の時代に伝えてくれています。

過ぎ去った古代に目を向けてみると、現代にも精油として手に入れることができる多くの香油が当時大変珍重され、人々は生活の中にごく自然にそれらを取り入れていたらしい・・・ということがうかがえます。こうして考えてみると、アロマセラピーというのは時に時空を越えた感覚をもたらしてくれます。古代の王たちや女王たち、さまざまなプリンセスたち・・・彼ら、そして彼女たちは、アロマに接することを楽しみました。そしてそれらの香りと、その及ぼす影響力が生活を豊かにすることを歓迎しました。現代にアロマセラピー、そしてエステルの物語にあるようなアロマトリートメントを体験するというのは、そんな歴史に残る人たちと同じ体感を経験することを意味します。僕がしばしば、「物語は残り香…香りはタイムマシン」と表現するのはそういった理由があります。

さて、エステルの話にもどります。エステルが施されたという香油による美容処置の記録は、アロマセラピストのみならず、現代のエステティックに携わる人たち、つまりエステシャンたちの仕事にも関連しています。エステティックという言葉の語源をネットで調べてみると、ギリシャ語の言葉にいきつくようですが、それはそれとして、古代のペルシャの王宮の中での命がけの行動によって多くの人たちの命を救った美しいエステルという、ひとりの女性を想い浮かべながらエステという言葉を考えてみるのも、なんとなく夢を感じます。ユダヤ人でありペルシャの王クセルクセスの王妃となったエステル・・・そのヘブライ語名はハダス・・・ぎんばいかを意味します。祝いの木として知られるこの可憐な花の葉枝からは、精油のマートルが採れます。
 
posted by フランキン at 00:20| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アロマセラピー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック