2010年02月28日

ハリウッドリメイクで本国にはためく黄色いハンカチの物語


寡黙で何かワケがありそうな男に高倉健、そしてひたむきなヒロインに倍賞千恵子山田洋次監督の「幸せの黄色いハンカチ」で初めて見たこのコンビは、日本の映画界が生んだある意味黄金のコンビです。この後に続いた「遥かなる山り呼び声」、そして倉本聡が高倉健をイメージして書いたという脚本の映画「駅 STATION」でも、このふたりが織り成す、さながら流行歌の中の男と女を活写したかのように親しみ深く、日本人の心に入り込んでくるふたりの形は、映画史上に残る絶対に忘れられない銀幕の中でのふたりであると思います。

この「幸せの黄色いハンカチ」が、ハリウッドによってリメイクされたのだそうです。「イエロー・ハンカチーフ」(The Yellow Hankerchief)。出演はこのニュースにあるとおり、ウィリアム・ハートマリア・ベロ、そして今や「トワイライト〜初恋〜」とそれにつづくシリーズで人気絶頂のクリステン・スチュワートという顔ぶれのようです。

さて、この「イエロー・ハンカチーフ」が山田監督の「幸せの黄色いハンカチ」のリメイクであるのはそのとおりなのですが、この物語のルーツはもともとアメリカであることはあまり知られていません。ニューヨーカー作家であるピート・ハミルが書いたこの物語、日本語で読める原作としてはの短編小説集「ニューヨーク・スケッチブック」の巻末に載せられています。とても短いストーリーですが、シンプルに心に残ります。つまり、今回の映画は確かに日本映画のリメイクですが、作品としてはアメリカ生まれのストーリーが逆輸入のような形で母国に戻るという形になります。

山田洋次監督といえば、先の挙げた「遥かなる山の呼び声」も、そのタイトルが示すように、ヴィクター・ヤングの同名の曲がメインテーマとして名高い、ジョージ・スティーヴンス監督の「シェーン」(1953年)をモチーフにした作品で、雪を被る山々が美しい雪解け頃のワイオミングの開拓地から、女性がひとりで切り盛りする北海道の牧場へと変わってはいても、物語のシチュエーションはそのまま取り込んだようなストーリーとなっています。振り返ってみると、山田洋次監督のハリウッド作品へのオマージュのようなものも感じますね。

幸せの黄色いハンカチ 遥かなる山の呼び声 ニューヨーク・スケッチブック (河出文庫)

フランキンとしては、この「幸せの黄色いハンカチ」と「遥かなる山の呼び声」は、何度見てもまた見たくなる数本の映画のリストに入っています。さて、今回ふるさとへく返り咲くことになったアメリカ版、つまり後に作られているとはいえある意味では元祖ともいえる「イエロー・ハンカチーフ」。殺伐とした世の中で、人と人の結びつきと、犯した過ちへの後悔や人同士が信頼し合うこと等々が散りばめられながら、一筋につづられるロードムービーに身をゆだねて、ささやかな幸せをかみ締めてみるのもいいかもしれません。日本公開はいつなのでしょうね?静かな…そしてささやかな期待が胸に沸いてきます。

ところで、山田洋次監督が33年前の「幸せな黄色いハンカチ」のロケ地であるひらめき夕張を訪れたのだそうです。感慨もひとしおだったことでしょう。あの黄色い旗は、今もそしてずっと先も、目いっぱい風にはためきながら、人々が訪れるのを待っていることと思います。


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posted by フランキン at 04:33| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | あの映画見た?この本読んだ? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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