2010年02月22日

対ロシア戦に見た少しだけ先の未来を創る醍醐味


バンクーバー五輪、カーリング予選。
イギリス戦でのあざやかな勝利の印象が残る中、
2勝2敗で臨んだ日本VSロシア戦。

時に息をするのも忘れていることに気づくことしばしばの、
緊張度がピークに達したままの状態が果てしなくつづきそうな大接戦、
そしてやはり、大激戦でした。

はじめの3エンドまでは、
日露双方とも氷の状況と相手の出方を推し量りながらの探り合い。
動きの少ない展開に、ツイッター上では
「おもしろくない」というつぶやきがもれるほどに静か…

しかしさすがにロシアチーム。
これまで全勝で勝ち進んでいたスウェーデンを、
10対1で下したばかりで勢いを取り戻したその底力に、
日本チームも簡単には前に進めさせてはもらえなかった!

第4エンドで先に仕掛けてきたのはロシア。
これまでブランクのまま進んで有利な後攻を保持してきた日本から、
あっさりと3点をスチール。

ここではじめてなぜスチールという
野球でいう盗塁を思い出す言葉が用いられるのか?
小林さんの解説で理解しました。
先攻のチームが得点を挙げることはなかなか難しく、
掠め取るようにして得点することからスチールというのだそうです。

故にカーリングでは、得点を重ねることは当然重要であっても、
時には相手チームを1点を取らなければならない状況へと追い込み、
次のエンドで有利な後攻を取得するという戦略も必要で、
ただの点取りゲームではないところに、
この競技を貫く知性の凌ぎ合いを感じもするのです。

一旦相手の仕掛けに乗せられてしまうと、
それを好転させて有利に試合を進めるには、スキップを中心にした
4人全員のコミュニケーションと一致結束した精神力必要で、
その辺りが映像・音声とも全く隠されることなく
すべてが目の前で展開されていくカーリングは、
数ある種目の中でも実にクリーンであり
ストレートな潔さを感じるスポーツだと改めて感じました。

ロシアチームによる攻勢はつづき、日本のショットミスも重なり、
直後の第5エンドでもさらに3点をロシアに追加され、
決勝に進むためには少なくとも
6勝3敗以下には絶対になれない日本チームに
まさかの敗北を一瞬よぎらせるムードを醸し、
見ているこちらも、6点という数字の重さを噛み締めるような展開に。

ショットの正確性をなかなか安定させられない
そんな苦しさが滲む状況の中でもなんとかチャンスをつかみ、
日本はつづく第7エンドで3点を返し、
第8エンド、そして第9エンド終了時には9対8と逆転。
さらに第10エンドには互いにミスを出しながらギリギリの攻防が続き、
ロシアが再び追いついて9対9という綱渡りをするかのような
冷や冷やな展開から1点取ったほうが勝ちという、
このオリンピックでの両チームの命運を間違いなく分けるであろう
運命の延長のラスト11エンドへ…

さて、実際のカーリングは見たことさえなく、
映像では初心者とさえ言えないほどの観戦経験しかない自分が、
この競技のゆくえにこれほどクギつげにされるのは、
NHKのカーリング解説小林宏さんの、高尚ともいえるほど
非常にバランスの取れたカーリング解説に寄るところも多いです。

印象に残ったのは、
「メダルを取るというのは30センチの攻防」・・・という解説。
思わず、んん!なるほど!そうか!と唸ってしまいました。

残りの持ち時間との闘いも織り始めた第10エンド。
そして1点取れば勝ち、しかも
日本チームが有利なラストストーンを持つ後攻でのスタートした、
同点後の延長そして最終第11エンド。

しかしそれぞれの決定的な場面でもややミスが発生し、
少しに暗雲が立ち込める…
素直に「先を読めば」、これはマズイという気持ちが出てくるシーン。
中継のNHKアナウンサーも不安げな気持ちを抑えきれず、
自分が感じている焦燥は、まさかのものであって欲しいのだけど、
これはいったいどうなってしまうんでしょうか?
というムードの質問が連発されました。

しかし、同じ危機感を抱いていることは間違いなくとも、
小林さんの説明は、あくまで積極的であり、
敢えて「不利な先読み」を言明をすることはせずに、
わずかな可能性が残るのであれば、
勝てるのだということに拘りつづける解説に終始しました。

このラストの息詰まるようなムードの中、
闘いを見ながら、そして解説を聴きながら勝手に感じたのですが、
カーリングは先を読むというところを超えて、
技術と戦略、それを支える精神力をもってして
たぶん先を創る・・・という競技なのだ、ということです。

そして両者にとってこのオリンピックを決めるギリギリ攻防の中で、
信じて投げられるストーンのの1投1投のゆくえが、
42メートル先から見つめるわずか数センチという違いを制し、
確かに見事に状況を打開して一気に帰すうを決して、
タレこめていた暗雲を吹き払ってくれることが
カーリングには確かにあるのだということを、
このロシア戦の延長第11ラストエンドで目撃することになったのです。

サウスポー目黒萌絵さんの投じたストーンは、
手前に残る2つのストーンを数センチの差でスリ抜けて
ハウス中央へとスゥーーーっと近づき、
ロシアの勝利を決するはずだったストーンを弾いて
自らが中央へと舞い降りるようにして止まっったのです。
日本は3点を追加し、
12対9、6点差からのギリギリの大逆転勝利でした。

真夜中に、
海のむこうはバンクーバーの氷上で闘う
ロシアと日本の女性たちの姿と
静かに氷を滑るストーンのゆくえにクギづけになり、
勝利を決するショットが決まったその瞬間を、
息を止めて見つめていました。

この大逆転劇がどれほどの勝利なのか・・・?
それはやはり、あの解説の小林さんの試合後のブログが、
リアルに伝えてくれています。

日本の皆様の応援で奇跡的な逆転勝利でした。
もうぐったりです。
次はドイツ戦だ。
みなさまの応援で次の試合も乗り切りたいと思います。


今回の対ロシア戦・・・そこにはイギリス戦でも感じた、
闘う選手たちの表情の静かな美しさを見るとともに、
先を読む、というよりも、
先を創っていくというに等しい知的な作業を、
実に耽々と繰り返していくカーリングという競技の中で経験する、
苦しさの中でも、少しだけ先の未来を創りつづける
ということの醍醐味。
そんな気づきのような感覚でした。

日本はこれで3勝2敗、予選順位は第4位へと浮上。
準決勝へと進むためには、
次のドイツ戦も絶対に落としてはならない闘いです。
クリスタルJAPANの闘いから目が離せません。

ドイツ戦、現在進行中。。。
 

ひらめき対イギリス戦に見たカーリングの美しさ
 
posted by フランキン at 13:12| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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