2009年10月11日

読む人の立ち位置を脅かす本 「告白」

湊 かなえ
双葉社
発売日:2008-08-05



いやはや・・・参りました。
文章そのものはとても平易で読みやすいですし、
今時の小説にありがちなストレートな残酷描写などもないのですが、
それでも相当に堪える内容でした。

湊かなえさんの本ははじめてでしたが正直感心するとともに、
最近つくづく感じている他人の観点への自分の反応の仕方について、
今一度考える機会にもなりました。

ある意味この小説は、
読んでいる人の立ち位置を脅かすようなところがあります。

誰かを、また誰かの言動や行為を見て、
それについて何かしらの反応というか感情というか、
そういうものが芽生え、時に表したとして、
それらがただ単に自分の中の解釈に基づくものでしかなく、
見えている「事実」と「本当のこと」とはいつも同じとは限らない。
そんなことを考えさせられます。

本当は人の数だけ「本当のこと」があって…
だから、この本の中で告白されているようなことを、
自分は絶対に行わないと思っていても、
決して自分からは遠いところにある他人ごととして片付けきれない、
そんな気がしてくるのです。

ストレートな描写をせずに
ここまでグイっと迫る作品は少ないかもしれません。
残酷な「描写」がないにも関わらずそこまで迫ってくるのは、
そういうことなのかな…なんて思います。

絶対にわかるはずはない…わかってしまったら恐い…
そう思っていた事柄を、なんとなく肌で感じてしまった。
そんな実感のようなものが湧き上がってくる…

自分の中に生ずるそんな反応に戸惑いを感じながら、
読者である自分の立ち位置が
しだいに曖昧になってくるように僕には感じられました。
この本の感想として、陰惨とか、陰鬱という印象が語られるのも、
そういうことからなのではないでしょうか。

同時に、世の中で起きている
様々な信じられない事件の数々に思いが及び、
法律や常識などの枠の中だけで判断するということの不十分さを、
痛いほど感じさせられます。

社会への問題提起として、
エンターテインメントが効果的に果たす役割があるとすれば、
この本もまたその一端を担っているような気もしました。


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ラベル:告白 湊かなえ
posted by フランキン at 22:57| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | あの映画見た?この本読んだ? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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