
必要最低限の文字数のシンプルな文体と、サラっと比較的短時間に読み終えられそうなページ数にもかかわらず、そこに描かれている男女の物語はサラっと読むにはあまりに濃密ではかりしれない深淵さを感じます。
論理だけでは必ずしも解決できない、人間が心理的な生き物であることを読み手はあらためて痛烈に突きつけられます。そして感じられるのはこの本のタイトルにもなっている「暗い日曜日」という東欧の古い曲が醸すのにひけをとらない切なさです。
読みすすめながら、登場する川井弁護士の仕事のスタンスや視点が、著者の弁護士としてのそれと自然と重なっていくように感じる。だからなのでしょう。この本の中で起きたこと、また登場人物たちが語ったこと、そのひとつひとつが著者によって目撃されたことのある風景であり、確かに本当にあったことを、今、形をかえて目にしているかのように、生命と、ある種の美しさをもって感じてしまうのは…
暗鬱なタイトル、とてもとても解しきれない愛憎…
でも最後には、真実にこそやはり救いはあるのだな…と、少しだけのすがすがしさに心を落ち着けたのは、たぶん僕だけではないと思う。
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