テレビで映画に接するようになったボクとしては、今はもう少なくなったけど、各局が競って放送していたいわゆる「○曜洋画劇場」や「□曜ロードショー」などの番組で、本編の前後に登場していた映画解説者という人たちの記憶が強いです。。
「サヨナラっサヨナラっ」で有名な淀川長治さんはもとより、「いや〜っ映画って、本当にいいモンですね」の水野晴朗さんや、「来週も、モア・ベターよ」のおばちゃま、小森和子さん。いろんな人たちが活躍していました。もうすでにみんな他界した人ばかりですね。
そんな中でボクがとても好きだったひとりが、故、荻昌弘さんでした。
作品というものを判断する上でテレビというメディアの特性上、どうしても視聴率というものが大きなウエイトを占めてくる中で、映画作品の良し悪しというものもだんだん分かりづらくなってきて、映画評論家が、また解説者たちが、どことなくただなんでも賞賛するように思えてしまった時があって、これでは「映画宣伝家」ではないか?…と感じてしまう頃があったのですが、
短い時間で端的に作品を背景や成り立ちを語る荻昌弘さんは、時には鋭い指摘もしてくれながら、なおかつ映画という文化への愛情に溢れた話をしてくれる人でした。映画評論家というのは、第一に映画のファンであるのだと思うのですが、荻昌弘さんから受けた印象は、その前に、大切な文化、またアートとして見つめていたように感じます。
YouTubeを何気なく見ていたら、そんな荻昌弘さんのかつての解説映像に出会いました。作品は、ジャミー・ユイス監督の「ビューティフルピープル ゆかいな仲間たち」この作品をボクはひとりで映画館で見たものですが、テレビでのこの荻昌弘さんの最後の解説は見逃していました。
この時にすでにガンを患っていた荻昌弘さんの言葉の中に、命あるものとして生きる喜びや感謝、そして愛情を感じて、胸を打たれました。
1988年8月16日、最後の映画解説…
元気をなくしそうな時…
誰かがつくった幻想に踊らされて世の中をあきらめ、
自分自身をさえあきらめそうに感じてしまう時…
力が泡がはじけて湯気と化してしまうような無力さを感じる時…
荻昌弘さんのこの映像を見ることにしよう。
なんとなく、ありがとうの気持ちが沸いてきた。。。
ラベル:荻昌弘
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