
軽妙な会話とドタバタと大騒ぎな面白さに何度もにんまりし、
数々のふれあいにしんみりした気持ちも感じながら、
アッというまに読み終えてしまった。
そして読み終えてからのこの温かみはなんだろう。
森絵都さんの小説を読んでいつも感じるのは、
自分自身の身のまわりの人、モノ、それらと自分との関わりなどなど、
すっかり当たり前で見慣れてしまったものや、
もはやありがたみも感じられなくてむしろ煩わしくさえ感じているものも、
本当は宝のようにかけがえのないものなんだ…と、
自分をそっと元の場所に戻してくれるような感覚なのです。
人は年をとり、やがて誰もが人生の終わりに向かっていく。
どんなに抵抗してもいや応なく時はながれてく。
それとともに、どんなに素敵なものや人との関係も、
やがてはいずれ終わってしまうということを誰もが知っています。
その先に何があるのか…?
知ってる人もいるのかもしれませんが大抵の人は知りませんし、
あの世がもしあって、それとの関わりなど、
それが森絵都さんが描いたようなものであってもなくても…
ようするに本当はどんななのかはこの際どうでも良いのです。
越えたくて、会いたくて、私は走り始めた…
環と一緒に、環の視野で人や風景を見つめ、
そしてやがて彼女の走りの先にもう一度見えてくるもの。
いやなもの、きらいなもの、すきなもの…
すべては紛れもなく今という時間とその中を共に生きているものたち。
読み終えるとともに視界がスゥーーーっと開けてきて、
身近な人たちへの温かさと愛情が静かに湧き上がってきました。
そしてなぜか自分も走ってみたくなります。
走ってみなければきっと見えないはず風景もきっとあって、
それを自分も見てみたくなる。
「ラン」というタイトルから、てっきり「DIVE!」と同じような
スポーツサクセス的な作品かと思って手にとりましたが、
帯にあったとおりやはりあの「カラフル」を彷彿させるよう作品です。
自分自身の「本来」って何?
そんなことをもう一度見つめてみたい…
そういう人には是非読んでもらいたい一冊です。
【あの映画見た?この本読んだ?の最新記事】












