2008年11月03日

ブラックウォーター



T・ジェファーソン・パーカーの小説はこれが初めてでしたが、
胸にせまる読後感…たまらなく悲哀を感じる物語…
たぶん忘れられない一冊となりそうです。

何者かに襲われ、
自らも頭部に銃弾を残す重症を負い生死を彷徨う保安官補アーチー
底知れぬ暗い水の中へ意識が沈み込んでいく…
再び目覚めた時には愛する妻を失っていた。
そして容疑は彼自身の身に…

物語の視点は大きく2つ。
事件の捜査にあたる女性捜査官マーシー・レイボーン。
断片的に蘇る思い出と薄れ逝く感情を必死に留めようとしながら、
頑なに自分自身の手で犯人を処罰しようとするアーチー。

事件をアーチーが犯人であるとして、
速やかに解決しようとする検察と加熱するマスコミ。
懸命な捜査をつづけ事態を打開しようとするマーシーが、
やがて辿り着き、見えてきた事件の真実…
そして、再び確信するに至るものは…?

マーシーが経験するこの物語の最高潮は、
まるでファンタジーのようにも感じられ心に残りました。
そして決して派手ではないのだけれど、
2度とふさがることのないであろう孔を抱えた胸を、
そっと撫で下ろすかのような静かな幕切れ…

人物の描き込みが実に深くて現実味があり、
するりと互いをつかみ損ねてしまいそうな、
人間関係の繊細な部分までをもとても味わい深く読ませてくれる…
いろいろな場面に美しさや詩情をも感じます。

シリーズものは絶対に途中から読まないたちですが、この作品、
読み終わるまでシリーズものであることを全く知らず読みました。
確かに物語の中には、前作までの経緯を知っておきたかった
という部分もあるにはありますが、
それもひとつの過去として次第に明らかになり充分楽しめました。

もちろん、先立つ作品の存在を知っていれば、
そちらから読んだと思いますが…
posted by フランキン at 11:35| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | あの映画見た?この本読んだ? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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