2008年09月09日

古城ホテルへいらっしゃい



古城をホテルにする…
中世ヨーロッパから何世代もの人々が住んだという
地下に広がる迷宮と数々の伝説をまとった崩壊寸前の古城…

歴代の魂が今も階段を昇り降りしているかのような石造りの塔には、
今もただひとり、年老いた男爵夫人が住んでいるという。
改築に参加を求められた男は、
いつしか逃げ出すことのできない現実と狂気の境に翻弄され、
やがて自分の内側にある囚われと向き合うことになる。
しかし男の体験自体が、また別の囚われにある男の作った物語…

元サッカー選手であり今は足を引きずるダニー、
かつて誰かの頭を撃ち抜きながらもその理由を明かそうとはしない囚人レイ、
そして、刑務所で囚人のグループに創作を指導する作家ホリー…

読みはじめてすぐに、いつもの読書とは違った違和感…
登場人物たちの会話の単調さに、読みにくさのようなものを感じる。
しばらくはのめり込めない…訳文のせいなのか?などと考えたり…
でも既にそれ自体が物語の一部。

はじめのうちに感じた違和感は、
物語の展開が速くなるにつれ、気にならなくなり、
それどころか、なるほどそうだったのか…
と、妙に腑に落ちながら受け入れられるようになり、
やがて一気にストーリーにのめり込んでいきます。

絵画的で、ミステリアスで、時に恐ろしくもあり、
それでいて美しさと平安に包まれていく…
何かを見出したり、どこかに辿り着けたような解放感は、
この本に光を感じる理由なのだと思う。
posted by フランキン at 12:15| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | あの映画見た?この本読んだ? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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