2008年09月07日

終わりの街の終わり



謎のウィルス過により終わりを迎えた人類
世界はもぬけの殻…とり残されたただ独りを除いては…

自分はひとりではない…一人ぼっちだという確信がもてない…
氷点下70度にも及ぶ厳凍の南極大陸で、
身も心もボロボロになりながらもただ独り生きることをやめないローラ。

自分を憶えてくれている人間が生きているかぎり、
そこに留まり、平和に暮らすことが出来るという街にたどり着いた男は、
後悔と希望を心に滲ませながら紙に数字を連ねて行く。
自分は生きている間に何人の人間を知っただろうか…?

人がいなくなる…ということの意味。
人がここにいる…ということの意味。

ローラの記憶につなぎ留められた人々の街では、
忽然と消え去りゆくことの意味について
人それぞれの想いが交差する

自分はここにいる…その特異さに突然気付かされる物語です。
街でただ誰かとすれ違うというだけの一瞬にも、
何かしら意味を感じてしまう。
そうか…袖触れ合うも多少の縁…改めてふと考えさせられたりします。

人間の生を絶対的に拒絶する氷と雪とクレバス…
ローラが独り踏破しようとする厳凍の南極の描写は容赦がありません。
別の世界でありながら無関係ではない街に憩う人たちの気付きは、
今を生きる現実世界の読み手にも何かしら静かに語りかけてきます。

やすらかで不思議…でもどこか厳粛な一冊です。
posted by フランキン at 13:53| 静岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | あの映画見た?この本読んだ? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック