2008年08月26日

ダーティー・ハリーを卒業したら読んでもいいよ



「あなたには黙秘権がある…黙秘権を放棄しての発言は、
あなたに不利な証拠として法廷において採用し得る…」

米国の警察官が犯人逮捕にあたって
容疑者に必ず告知するのが、この「ミランダ警告」。
はじめて耳にしたのは、ずっと以前に放映されていた、
ロス市警のパトロール警官のコンビを描いた
「アダム12」というドラマだった。
毎回必ず出てくる言葉だったので、
ドラマの台詞のとおりに今でも憶えています。

そしてこの小説のタイトル、
「あなたに不利な証拠として」も、
同じミランダ警告の中の言葉…
家族間のいさかいから、凶悪な暴力犯罪まで、
街で起きている出来事の現場に駆けつけ、
米国の警察官は幾つものドアをノックし続ける…

人間社会の歪みと耐え難い現実の最前線に毎日身を置き、
時には一日に何度も同じこの警告を誰かに告知する。
それだけにこのタイトルそのものが、この小説の持つ、
警察官の日常のリアリティを強く表しているように感じます。

著者の背景と同じく、
登場する5人のパトロール警察官はすべて女性…
彼女たちは実に淡々と自分が職務上経験した事柄を語る。
一編一編が、強烈なリアリティをもって迫ってくる…
現場の空気を吸い、匂いを嗅ぎ、腐敗物を目にし、
そうした終わらない日常によって訓練された感覚を集中して、
彼女たちは今日も職務を遂行する。

そしてそれぞれが自分の中に折り合いをつけて行かなければならない…
その現場で目にすることに嫌悪と吐き気を感じ、
正義を代表する立場にあっても、自分の行為に時に罪悪感さえ抱く…
強くタフに感じられる彼女たちも、常識と精神の限界を抱えた、
心に深く傷を負うこともある生身の女性たちであることを、
読み進めながら痛切に感じさせられる。

警察官であるというこことはどんな体験なのか?
この小説はこれまでになくリアルに表現しています。
生き生きとした5人の女性警官たちに羨望と少しの愛しさを感じると共に、
1990年度に公開された、やはり女性のパトロール警官を描いた映画、「ブルースチール」を思い出した。
その映画の公開時のPRコピーはこんなだった…
「ダーティ・ハリーを卒業したら見てもいいよ」

この小説を読んだ印象も、同じにおいを感じます。。。
posted by フランキン at 13:14| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | あの映画見た?この本読んだ? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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