満月というのは気づいた時には既に今日の空に浮かんでいて、観察者である僕をいつでも一歩先んじています。ポッカリと浮かぶ月・・・などと言い表したくなるのは、きっといきなり視界の中心を占めてしまうその唐突なありさまから受ける印象も含んでのことかもしれません。満月というのは限りなく丸いのだけれど、もし予備的な知識(今や常識だとしても)がなければ、僕はその丸い形を「円」として受け止めていたことでしょう。夜が深まるにつれて空がさらに暗くなり月の明るさが更に増してくると、目を細めて見つめる月の表面に印された、古来から無数の人々の想像力を刺激しつづける模様に絵と動きを感じるようになります。幾つもの神話や民話が見出されてきたあの丸い月を円ではなく「球」として見つめるということ・・・今やそんな当たり前も、そこに至るまでにはずいぶんと長い時間の流れと人間の意識の変遷があったのかもしれません。
今夜の満月も、すっかり中天にかかりました。月の光が音を立てるようにして注ぐ伊豆高原で月を見つめる・・・足元の小さな小石や木々の枝葉もそれぞれにくっきりとした影を帯び始め、ちょっと不思議な気分で今夜の空を観察している自分もいつのまにか風景の一部となっているような気がしてきました。
シェアした動画は、ニュージーランドはウェリントンのマウントビクトリア展望台に上がる月のリアルタイムビデオです。人々のシルエットがなんとなく童話的です。こんな風にゆっくりと月に戯れてみるのもいいなぁ〜^^