
ソウル・コレクター
自分自身について、
自分以上にたくさんの人たちが知らぬ間に知っていて、
悪意をもった何者かによって
自分の人生がのっとられていく・・・
あとに残されるのは、
自分が生きた覚えのない人生の残骸と、
犯したことのない罪と罰・・・
ジェフリー・ディーヴァーの
リンカーン・ライム シリーズの最新作ソウルコレクター
なんとも背筋がゾクっとなるような、
それでいて本当に何処かで起きていそうで怖いストーリーだった。
比較的無知なまま情報化社会に漂っているらしい自分としては、
個人情報とプライバシーに関わる諸々が、
ここまで深刻な問題を孕んでいるものなのだとちょっと実感。
原題は「The Broken Window」なんだけど、
ディーヴァー自身が日本向けにと候補に挙げたのだという
「ソウルコレクター」というタイトルも、
いつのまにかまるで魂を抜き取られるかのように
意に反して自身の個を失いながら現実が崩壊していくような
得体の知れない不安も助長していてこれもなかなかいいかもしれない。